創設者のスティーブ・チャンより

2005年、私は国際的なウイルス対策のソフトウェア会社であるトレンドマイクロ株式会社(Trend Micro Inc.)のCEOを退任しました。 そのときに、ビジネスの世界で学び、得たものを、”ソーシャル・インパクト“の創出につなげたいと考えました。

この15年間、私は自分の得意分野と資源を、いかに正しく、効率的に、特定の人々に特化した社会貢献活動に転換するかを考え続けてきました。 定年退職の翌年にはベトナムへ植林活動のために赴き、FLOW INC.を立ち上げましたが、その過程で多くの失敗を経験。 非営利団体の本質とは何か? この疑問を常に解き明かそうとしてきました。

マネジメントの第一人者であるピーター・ドラッカーは、営利団体でも非営利団体でも、お金は投資されるが、アウトプットが異なるー。前者はお金であり、後者は人の変化である、と言いました。 企業の世界では、ROI(投資利益率)が投資家へのリターンを示す主な尺度となりますが、人間の変化を示す尺度は何なのでしょうか?

私の師である辛意雲は、『孟子』(孟子による書物)を使って、いくつかヒントを与えてくれました。その中で彼は人間が成長する過程で、さまざまな段階について述べていました。 自信を高めることから始まり、真の人間性の目覚めとは、自分自身を見つめる力を持つことです。そして、もっと重要なのは、自分や他人のために立ち上がる力を持つことです。この「心の変容」は、東洋思想ならではの考え方です。

私はこの15年間で、NPOや企業でうまくやるために、まず自分の意見を持たないこと、そして水のように柔軟でいることを学びました。常に大切にすべきことは、サービスを受ける人々が本当に必要としているものを見極め、謙虚な姿勢で振り返ることで、サービスの質を絶えず改善していくことです。

世界にはすでに多くの財団がありますが、私たちが目指すのは、財団としての役割を果たし、日本や台湾にとどまらず、世界中の志を同じくするNPOと協力し、ビジネスの世界の最適化と革新をもたらすことです。そして、東洋と西洋の考え方を組み合わせて、目標の設定や成果の測定において受け手が心理的にも改善できるようにサポートします。

その過程で、プロジェクトに関わる起業家やスタッフは常に初心を忘れず、受け手のためにより良いサービスを提案し続けることができます。最終的には、このプロジェクトに関わるすべての仲間やNPOパートナー、受け手の皆さんが『明徳』を持ち、元々持っている美徳を活かすことで、より良い自分へと成長することができるのです。

これが、私が心から追い求めたい理想であります。

Steve 張明正
創設理念